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適応機制とは?
適応機制とは、欲求不満やストレスにより緊張状態になったとき、原因を解決しないままに、自身の欲求不満やストレスだけを解消しようとして生じた不適応な反応のことを指します。
適応機制と同様に扱われる防衛機制は、適応機制のうち、自我を守るという意味合いが強いときの呼び方です。
適応機制という概念は、アンナ・フロイトが提唱したものになります。
アンナ・フロイトは、精神分析学の創始者と呼ばれるジークムント・フロイトの娘で、ジークムントが扱った無意識の精神分析を研究しました。
適応機制はその1つで、人間が無意識的に引き起こす不適応な反応をまとめたものです。
適応機制は心身の健康を保つために必要不可欠な防衛システムですが、このシステムに依存してしまうと、
- 本来の欲求を満たせない
- ストレス耐性が育たない
といった不具合が生じます。
時には自分の無意識と向き合い、適応機制の働きが適切かどうか確認することが重要です。
適応機制:自己防衛型
ここからは代表的な適応機制の反応を紹介しますね。
適応機制には3つの種類が存在します。
- 自己防衛型
- 自己逃避型
- 攻撃型
まずは自己防衛型をみていきましょう。
- 合理化
- 抑圧
- 同一視
- 置換
- 投射
- 補償
- 代償
- 取り入れ
- 昇華
- 反動形成
①合理化
欲求不満の動機や自分が体験した失敗を、
それらしい理由をつけてごまかす反応
例えば、
- 値段が高くて買えないBluetoothイヤホンに対して、「失くしそうだからいらない」と言う。
- 負け惜しみ
- 言い逃れ
が該当します。
②抑圧
不満を引き起こしそうな欲求や動機を
無意識の底に抑え込む反応
例えば、
- 虐待された記憶を忘れる
- 嫌いになった友人に借りていた本を紛失する
が該当します。
③同一視
他者がもっている望ましい特性を取り入れて、
自分も魅力的な人物だと主張する反応
例えば、
- 映画を見て、主人公の振りをする
- 尊敬する上司の口癖を真似る
が該当します。
④置換
ある欲求の対象が、
無意識の中で別の対象に置換される反応
例えば、
- 父親に叱られたので、ゴミ箱を蹴り飛ばした
- 自立した子供の母親が、代わりに犬を可愛がる
が該当します。
⑤投射
自分がもつ認めたくない感情や態度、
欲求を他者の中に見出して転嫁する反応
例えば、
- あいつは俺のことが嫌いだ→実は自分が嫌っているだけ
- 彼の浮気が心配→自分の浮気性を相手のものと思い込んでいる
が該当します。
⑥補償
心身の欠点や劣等感を補うために他の特徴を伸ばし
他人に勝つことで安心しようとする反応
例えば、
- 勉強が不得意なので、スポーツを頑張る
- 友達付き合いが苦手なので、ネットで人気者になる
が該当します。
⑦代償
本来の目的が満たされなかったときに、
その目標に似た別の目標を達成することにより
満足しようとする反応
例えば、
- 高価なギターが買えないので安いギターを買った
- 海に行けないのでプールに行った
が該当します。
⑧取り入れ
他人がもっている感情や特質を、
あたかも自分がもっているかのように振る舞う反応
例えば、
- 成績が良い友人を自慢する
- 虎の威を借りる狐
が該当します。
⑨昇華
反社会的な欲求や感情を、
社会的に価値の高い目的に向けて発散する反応
例えば、
- 性的な欲求をスポーツに向けて、活躍する
- 攻撃衝動をイラストで発散する
が該当します。
⑩反動形成
欲求をあらわにすると不安や危険に陥るので、
欲求を抑圧し、それと反対の態度をとる反応
例えば、
- 好きな人にいじわるをしてしまう
- 嫌いな相手と親しくする
が該当します。
適応機制:自己逃避型
次に自己逃避型の適応機制です。
- 逃避
- 白昼夢
- 退行
①逃避
困難な状況に直面したときに、
その状況から逃げ、解決を先延ばしにする反応
例えば、
- 用事を仮病で休む
- 試験期間中に部屋の片づけをする
が該当します。
②白昼夢
現実には満たされない欲求を
空想の世界で満足させる反応
例えば、
- 片想いの人とのデートを想像する
- 魔法が使って人を助ける妄想をする
が該当します。
③退行
解決困難な状況において、
未発達な段階に逆戻りする反応
例えば、
- 弟が生まれた途端、赤ちゃん返りする
- 指をしゃぶる
が該当します。
適応機制:攻撃型
最後に攻撃型の適応機制です。
攻撃型は1つだけになります。
攻撃
欲求の充足が阻止されたため、
その不満を攻撃行動に表す反応
例えば、
- 反抗的な態度をとる
- ケンカをする
- 八つ当たりをする
が該当します。
まとめ:適応機制とは?
適応機制は、私たちが社会や環境の中でうまく生きていくために重要な働きをします。
しかし適応機制はあくまで、「自分の気持ちを無意識に隠し、一時的にごまかす反応」です。
この反応が過剰になれば、精神的な病気に発展する可能性もあるのです。
適応機制と適切に付き合って、臨機応変に、そして健康に生活してくださいね。