- 組織が成立するために必要な要件
- 組織が存続するために必要な条件
組織運営をするために必要なこととは何でしょうか?
例えば戦略だったり、システムだったり、数え上げればキリがありません。
私は「組織とは何かを知ること」だと考えています。
組織は何によって成立し、発展していくのか。
最も基本的かつ最も本質的な知識でしょう。
今回はチェスター・バーナードが提唱した組織の成立要件と存続条件を解説します。
組織の成立要件
バーナードは組織を「意識的に調整された2人以上の人々の活動や諸力のシステム」と定義しました。
集団の構成員が意識を持って協力し合うことで組織になるということです。
組織の成立要件は3つあります。
- 共通目的
- 協同意欲
- コミュニケーション
①共通目的
1つ目の要件は共通目的です。
もし組織に共通の目標が設定されていなければ、組織はただの集団になってしまうでしょう。
目的の種類は3つです。
- 行動目標
- 成果目標
- 意義目標
行動目標の例は「報告や連絡を徹底する」「会議を短縮する」などが挙げられます。
メンバーの行動を具体的に指し示す目標です。
行動目標を設定することで、メンバーが自律的にアクションを起こしやすくなります。
成果目標の例は「10万部売り上げる」「契約を3本取る」などがです。
組織が行動の末に手に入れるべき成果を示す目標になります。
成果目標は組織としてのまとまりを生むでしょう。
意義目標は「消費者に安心を届ける」といった組織の哲学を反映する目標です。
意義目標はメンバーの具体的な行動が示されない分、新たなアイデアが生まれる可能性があります。
集団を組織として運営するためには、これら3種類の目標を設定し、メンバーと共有しなければなりません。
②協同意欲
2つ目の要件は協同意欲です。
協同意欲とはメンバーが組織に貢献しようとするモチベーションを表します。
協同意欲を考える上では方程式が有効です。
目標の魅力×達成可能性×危機感
「目標の魅力」はメンバーにとって目標を達成する意義があるのかどうか。
「達成可能性」は活動のプロセスをステップ毎に分けたり、役職を決めたりして、目標の達成が身近に感じられる工夫ができているかどうか。
「危機感」はメンバーの行動如何によっては減給や昇格が行われること。
「目標の魅力」「達成可能性」「危機感」のうち1つでも欠けてはいけません。
組織の運営に当たってはメンバーのモチベーションのコントロールも注意しましょう。
③コミュニケーション
3つ目の要件はコミュニケーションです。
リーダーとメンバーの連絡、メンバー間のやりとり。
良い組織にはスムーズな意思疎通が欠かせません。
コミュニケーションを阻害する要因は感情です。
「リーダーに報告するのは怖い」だとか「あいつは面倒だから話さない」といった雰囲気が生じると、組織としては失敗でしょう。
組織運営においてコミュニケーションを円滑にするために、メンバー同士の相互理解を促す活動を行うべきです。
例えば人生の山や谷を表現する「モチベーショングラフ」や、才能を明らかにする「ストレングスファインダー」が挙げられます。
これらのツールを用いてメンバーの信頼度を高めることが組織運営の秘訣です。
組織の存続条件
バーナードはさらに組織が存続するための条件も研究しています。
その条件はこちら。
- 内部均衡
- 外部均衡
①内部均衡
1つ目は内部均衡と呼ばれる組織内部の安定条件です。
組織が3つの成立要件を満たし、成立した後も存続するためにはメンバーの継続的な参加が必要になります。
メンバーの視点で考えると、組織への貢献度合いが、メンバーの行動誘因を上回れば良いわけです。
不等式で表せば「貢献≤誘因」となります。
例えばメンバーにとっての誘因材料が金銭だった場合、貢献度に応じた給料が支払われないとなると、メンバーは組織から離脱してしまうでしょう。
家計を負担できない場合もです。
組織の存続はメンバーも存続させるということに他なりません。
組織を運営する際には誘因のバランスに気を使いましょう。
②外部均衡
もう1つの条件は外部均衡と呼ばれる組織の外部環境への働きかけに関するものです。
率直にいえば、組織の存在が社会に貢献しているのかという問題になります。
極端な話、組織の共通目的が「麻薬の普及」だった場合、その組織は日本において十分な働きかけができません。
組織の共通目的は社会の理念に沿ったものでなければならないのです。
まとめ:組織の成立要件
- 共通目的
- 協同意欲
- コミュニケーション
バーナードは個人が1人では実現し得ない共通目的を、組織に貢献する意欲を持って、複数のメンバーでコミュニケーションを取りながら、達成を目指すときに組織は組織足り得ると述べました。
組織を運営する際にはこれら3つの要件を欠かさず再現するようにしましょう。